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May 2022

新リース基準 - 第五回 リース支払額(Lease Payment)

By 監査
今回は、lesseeの視点からリースに関して支払われる金額の扱いを見ていきます。今までの説明では、月々の使用料支払額だけを対象に資産化等を議論してきましたが、リースに関する支払いは、他にもいろいろ発生します。ASC 842においてそれらがどのような扱いになっているか判断して、Lease Paymentの金額を確定していきます。 Lease Payment このLease PaymentはASC 842では、重要な概念でLease Paymentの現在価値でリースの区分(finance lease or operating lease)を判断したり(第一回参照)、lease liabilitiesやROU assetとして資産化される金額の算出基礎になります。Lease Paymentの構成については続いて解説しますが、一言で言うとリース資産の利用権のためにlesseeがlessorに対して行う支払い(Lease payments are the payments made by the lessee to the lessor for the right to use the underlying asset)といえます。 なお、前基準のASC 840では、リースの区分を判断する基準の一つとして、minimum lease paymentsがリース資産のfair valueの90%以上というものがありました(ASC 840-10-25-1 (d))。新基準でも第一回で同じような判断基準があると触れましたが(ASC 842-20-25-2 (d))、この条文ではminimum lease paymentsという言葉は使われておらず、単に上述のLease Paymentになっている点、用語に注意が必要です。 Lease Paymentの構成要素として新リース基準ASC 842-10-30-5は以下のようなものを挙げています。 1.Fixed payment (842-10-30-5 (a)) これは、単純化すると契約で確定している使用料になります。月$xxxの賃料といったものです。 2.Lease incentive (842-10-30-5 (a)) 不動産の賃貸等でよく見かけるlandlordがtenant improvementの費用を負担するような例です。これは謂わばネガティブな支払いで、lessorからもらった、若しくはlessorに負担してもらった金額は、Lease Paymentから減額します。 3.  Variable lease payment (842-10-30-5 (b)) 1.の確定した金額(fixed payment)以外に、変動する支払額がリース契約で決められることがあります。ASC 842では、時の経過以外の要因でリース開始時以降に変動する(changes in facts or circumstances occurring after the commencement date, other than the passage of time)支払額と定義しています。扱いは以下の2つに分かれます。 ・指数や相場(例:Consumer Price Index やmarket interest rate)に基づくものは、リース開始時の当該指標や相場をもちいて算出した金額をLease Paymentに含めます。例えば、家賃が毎年物価指数に基づいて変動するような場合です。 ・上記以外の変動支払額は、Lease Paymentには含めません。 よって、よく小売業の店舗賃借などである固定家賃+売上のxx%といった形での変動支払額については、変動部分は、Lease Paymentには含めません。 4.Purchase option (842-10-30-5…
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GILTIと962選択

By 税務
前号にて触れた962選択であるが、当然のことながら、GILTI対象の個人納税者も選択可能である。前号で紹介したTaxpayerも、962選択により、GILTI 控除が利用できるに加え(しかし、CFCが殆ど外国税を支払っていなかった為、間接外国税額控除利用には及ばなかった)、21%の割でGILTI Taxが計算できた。限界税率が35%のTaxpayerであった為、21%で計算できた効果は大きい。962選択は、高配当のCFC株式を長期間所有する者にはお勧めしない。962選択が功を奏するか、顧問税理士に、当該CFCについての今後の計画を相談頂きたい。CFC税制絡みの申告は、今でも手がかかる作業が多い、還付請求権が消滅する前に、余裕をもって事を運ぶべきだ。 筆者の紹介 ― 河村好司(kawamura@reiwa-us.com)。Reiwa Accounting にて移転価格やクロスボーダー事業、取引に関する税務コンサルティングを行う。税務調査、不服申し立て立ち合いの経験も豊富。今後も、実務にて得た経験をベースに寄稿予定。
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新リース基準 - 第四回 割引率

By 監査
今回は、リース債務を計算する際の割引率について解説します。リース債務は、リース全期間の支払総額等(Lease Payment-次回解説予定)を現在価値(Present Value – PV)に引き直して求められますが、そのために必要になるのが割引率です。 割引率の種類 新しいリース基準ASC 842には以下の2つの割引率が提示されています。 Implicit rate (黙示的な割引率) Incremental borrowing rate (追加借入の金利) 簡略化してありますが、それぞれ以下のように説明できます。 Implicit rate: PV of lease payments + PV of residual assets = Fair value of assets +Deferred initial direct costs の等式を満たすような左辺の現在価値(PV)を導く割引率。 一見わかりにくいですが、単純化すると、リース料と資産の残存価値を現在価値(PV)に割り引いた金額は、現在の資産のfair valueとleaseを実施するために直接かかった費用(initial direct cost)を回収できるようにlessorは意思決定しているはずであると考えているといえます。そして、そのようになる割引率をimplicit rateと呼んでいることになります。 Incremental borrowing rate: これはlesseeの視点から見た割引率で以下のように定義されています。 the rate of interest a lessee would have to pay to borrow an amount equal to the total lease payments on a collateralized basis over a similar term in a similar economic environment. つまり、lesseeがリース支払額総額を借りなければならないとしたときの追加借入率になります。なお、リース期間や経済状況が同じような担保付きローンを想定するとあります。 割引率の適用順序 このimplicit rateとincremental borrowing rateですが、ASC 842では適用順序を決めています。原則はimplicit rateです。ただ、これは上記の説明でわかるようにlessorからの視点で算出されるレートです。Lessee、特にoperating leaseのlesseeにはそのような情報は入手困難と思われます。 そこで、ASC 842は、implicit rate がreadily determinableでないときは、incremental borrowing rateを使うと規定しています。 Risk-Free discount rateの使用(簡便法) しかし、incremental borrowing rateを実際にlesseeが算出しようとすると、かなり複雑な計算を強いられることになります。つまりlesseeの…
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